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記録をすれば、あとで役に立つ。たぶん。

【書籍】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜

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iPad mini 5を購入して、良きKindleリーダーにしようと思った折、Kindleストアで目についた「本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」の第1巻目「第一部 兵士の娘Ⅰ」。Amazonプライム特典として、無料で入手できるとのこと。とりあえずと思って読んでみたところ、まれに見る出色の出来。さすが書影にデカデカと「1位」と出しているだけあります。強くオススメできる本として紹介したいと思います。

なお2019秋アニメとしてTV放映が予定されているそうで、こちらも楽しみですね。

 本好きの下剋上とはどんなものか

いわゆる「なろう系」小説で、異世界転生モノです。サイトはこちら( 本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 )。端的にいえば、読書が無上の喜びという特性をもつ転生者の少女が、本を読んで過ごすという目的のために、本を手に入れるため四苦八苦し、結果身分が向上(下剋上)していく、という感じですか。チート能力はありません*1が、お約束のセリフ「え?やっちゃいました?」はあります。

なろうに投稿された小説は5部までいって完結しています。書籍はあのTOブックスからとなっていまして、現在本編19巻+外伝1巻。すでに累計発行100万部となっていまして、隠れたミリオンセラーといった作品のようです。「このライトノベルがすごい!」にも3年連続で選出されていますしね。また「ふぁんぶっく」というファン向け本が3巻も出ているのが面白いところ。設定資料とかが載っているらしく、ファン垂涎の出来のようですね。ファン層の厚さがうかがえます。

これを受けてか2019年秋アニメとしてTVアニメ化されるようです。昨今の異世界転生ブームに乗るようでちょっと不安がよぎりますが、ファンの期待に応えてくれるものと信じています。

本好きの下剋上、何が面白い?

まずちゃんと読ませてくれるお話だということです。

Kindle Unlimited体験でいくつもの作品を流し見してきましたが、ハッキリ言って小説の呈をなしていないものがかなりあります。これがなろうの投稿サイトの方をいうのであれば玉石混交で石がほとんどというのもしようがありませんが、読んでいるのは書籍版です。あとがきには出版社の担当者の指摘で大幅に書き直しをしていると記されているモノも割にあります。んで、アレなんですねぇ。担当者仕事しろ!というか校閲といわずせめて校正をして欲しいものですよね。

小説の読み方は人によって様々あると思います。脇目もふらずにエンディングまで一気!の方もおいででしょうし、メモを片手に行きつ戻りつの方もおいででしょう。うらはだいたい一気タイプながら、気になる表現がある時は立ち止まって、心にストンと落ちるまで頭の奥でコロコロと転がして楽しんでいます。本作はこれが割とできるんですよね。表現が粗いなぁという箇所も見られますが、そこは作者の持ち味ということで。

次なる理由としては、青い鳥文庫とかでも出版されてそうな安心展開の王道構成なことも挙げられます。

基本は主人公の少女マインの一人称(主観)で語られます。マインが見聞きすることは分かるけど、そうでないことは分からない。巻末の挿入話では他のキャラクターが語る事もありますが。で、本がない世界にやってきてしまったマインが、本を読むという目的のために転生前の知識を総動員して、また協力者を得て、がんばる姿にやはり惹かれるのですよ。本作ではその過程が細かに語られます。

最初は幼くて病弱でといったハンデが邪魔をして思い通りにいかない!なんてことも、チャンスや体験や協力者を得ることで一歩一歩目標に近づいて行くのです。各部のサブタイトルにもあるようにマインは「兵士の娘」→「神殿の巫女見習い」→「領主の養女」→「貴族院の自称図書委員」→「女神の化身」と立場が変わり、それにともないできることは変化していきます。ただ一貫して目的が明確で、努力苦労で成長し、それに関わらず状況に振り回されてまた苦労するのです。それぞれの立場でのドタバタはやはり読んでいて楽しめます。

あと、計ったように各巻ごとにクライマックスが用意されています。書籍はソフトカバー仕様とは言え1,200円以上するモノなのでありがたい構成です。

もう一つ挙げるとすると、構成がバラエティに富んでいる事でしょうか。色々な楽しみ方ができますね。

1巻だけ読んだ時は「なろう系にしては地味だし異色だな」と思っていたのですが、巻末の転章で「魔力」の存在が示唆された時はゾワッときたものです。かといって魔法が主軸に来るわけでもなく、やはり本作りが目的なのは変わりません。要所要所で大事なアクセントにはなっていますけどね。

また、協力者としての仲間が増えてきて、気がついた時には妙齢のイケメン男子ばかり周囲にいます。「あれ?これ乙女ゲーの世界じゃね?」と感じるも、かといって本人じゃなく周りの恋バナばかり。完結しているサイト版は読んでいないのですが、結局どうなるんですかねえ。

あと、世界のことわりみたいなものにちゃんと取り組んでいることも楽しみの1つですね。世界観はおざなりになったり過剰に干渉したりとさじ加減が難しいところながら、本作では小出しで匂わせています。マイン本人は無関心なのに、情勢が関わらせずにおかなくなってるのも、展開として素晴らしいですね。結末までに世界の仕組みが明らかになるのでしょうか。待ち遠しいです。

アニメ開始までには読んでみて欲しい

冒頭にも書きましたがAmazonプライム会員なら1巻が無料。Kindle Unlimitedならいくつかの巻が無料で読めます。ぜひお読みいただきたいものです。ちなみにうらは書籍版を図書館で取り寄せしてもらってほとんどを読みました。

個人的な推しポイントは、本作りが軌道に乗ってきたあたりでお母様が恋物語集を発行するところ。「ベルサイユの即売会かよっ!」とツッコミたかったのがこのエントリを書くきっかけとなりました。

*1:有り余る魔力は本人努力のたまものということで。